2021年度事業計画の中で、用地取得を伴う拡張との記述があった「総合基地整備事業」ですが、有価証券報告書や現地状況から、実際に土地の取得が行われたようです。
まだ断片的な情報に留まりますが、総合基地整備事業に関する2021年10月末時点の情報をまとめます。
総合基地整備事業について
総合基地整備事業は中期経営計画の中で「処理能力が限界に近づきつつある総合基地の中長期的なあり方について検討」とされており、4月に公表された2021年度の事業計画(PDF・2.9MB)で、下記の記述がありました。
総合基地は(中略)今後の車両の運用等に対応するため、総合基地を拡張する「総合基地整備事業」を推進しています。2021年度も用地取得のほか、事業計画の作成と都市計画の変更に係る手続きに向けた準備を引き続き進めていきます。
前後しますが、総合基地周辺では、2020年度から隣接地の一部に仮囲いが設置され、この箇所が総合基地の拡張箇所ではという推測がありました。しかしながら、掲示類は「土地管理者」名で、首都圏新都市鉄道が取得した土地かどうか不明確な部分がありました。
6月25日、首都圏新都市鉄道が提出した有価証券報告書(2020年度)の中で、有形固定資産の増加分として「土地 総合基地整備事業」が約2.5億円記載されていました。そのため、2020年度に既に一部用地を取得、2021年度の事業計画から「2021年度も用地取得」を行うことが伺えます。まさに用地取得を進めている最中のようです。
(参考)基地の留置能力
2012年度新製車投入から、2013年度末の総合基地の増強(留置線2本を追加)までの間、駅留置を含め、全線で37本を留置できていました(詳細)。
2013年度以降に留置線5本を増設し、TX-3000系新製5本の留置に備えたため、(3両しかいない71Fを含め)現状が過去最多の42本とはいえ、駅留置は2013年度と同水準が続いています。
直近で逼迫する要因は公表されていませんが、今後の周辺の宅地開発や長期的な増備の可能性を考え、長いスパンで取り組んでいる事業なのではと思います。
現地の状況
前置きが長くなりましたが、総合基地周辺で開発が進んでいない隣接地は、事実上基地の南側のみです。北側は小貝川、西側は調整池、東側は都市軸道路・TX本線に囲まれており、拡張が困難な状況です。
先述の通り、昨年度からこの部分に仮囲いが設置されています。総合基地内の構内図(上が南)で示すと下の通りで、黄色いエリアが取得されたと思われるエリア、赤い線が現時点で明確な仮囲いです。A~Dは今後の説明で使用します。
10月31日現在の現地の状況をご紹介します。今回、2021年9月1日から10月31日にかけて、草刈り工事が東鉄工業により行われ、掲示から首都圏新都市鉄道が発注者であることが分かりました。この部分の土地を購入した可能性が高いです。
D地点は私有地同士の境界か見分けがつかず、撮影はできていません。同様の柵が続いている状況です。
田園の中はどこまで拡張するのか不明確な状況です。今後、大規模な工事が進むことになりそうで、スパンを徐々に詰めてご報告して行きたいです。
(補足)留置線軌道整備工事
関連は不明ですが、10月27日に発表された東鉄工業の受注工事(PDF)の中に「TX留置線軌道整備工事」があります。
非常に工期が短い(2021年9月25日~2022年1月20日)ため、この整備工事は造成などを伴う総合基地整備事業とは無関係なのではと個人的には推測しています。10月31日現在、総合基地周辺でこのような工事は確認していません。