昨日の記者会見で、2019年度までの輸送力増強施策が公表され、報道が相次いでいます。また、本日には公式サイトにもプレスリリースが掲載されました。
今までの経緯を交えながら、発表内容をまとめたいと思います。
2019年度末に6連5本を新製投入
茨城新聞によると、平日朝ラッシュピークの上り列車(7時半~8時半)を22編成から25編成にするために3編成、同一時間帯に下り列車を増発するため1編成、予備編成を増やすため1編成、合計5編成が投入されるとされています。
これにより、開業時に6連30本でスタートしたTXには、2008年度新製の6連4本、2012年度新製の6連3本、2019年度新製の6連5本が加わることになり、6連42本体制となります。
新形式となるのかどうかは公表されていませんので、どのような仕様になるのか注目ですね。
編成増に伴う留置線の増強
編成を増やすと言っても、留置設備や変電設備などの増強が必要です。
留置設備については、TX開業当時の将来計画が工事誌に掲載されています。これによると、開業時6連30本の留置能力(総合基地6連26本、八潮留置線6連4本)が、将来的に8連34本(総合基地8連30本、八潮留置線8連4本)となるとされています。
しかしながら、この設備計画では駅での夜間留置は考慮されていません。実際には夜間留置本数を最大限に確保することで、2012年度新製車投入から、2013年度末の総合基地の増強(留置線2本を追加)までの間、全線で6連37本を留置できていました。
茨城新聞によると、今回の5編成の増備で、総合基地内に留置線を3本増強する計画のようです。つまり、2013年度に増設した2本と、今後増設する3本で5編成分の留置スペースを確保し、夜間留置本数は2013年度の水準に戻るのではないかと考えられます。
(工事誌によると、検修庫の施工能力や工場の施工能力なども綿密な計算がなされていますが、8両化を想定していたところを6連が数本増えただけですので、当面の能力に支障はないものと思われます。)
編成増に伴う変電設備の増強
茨城新聞によると、編成増に伴い、変電設備についても増強が行われます。
工事誌によると、8連が片道、秋葉原~八潮間24本/h、八潮~守谷間19本/h、守谷~つくば間5本/hのダイヤで支障が出ないように配置・設計され、開業3年目の2008年度に守谷以北の設備増強が行われました。
秋葉原~八潮間については増強不要な可能性が高い(6連のまま運行される上に、25本という本数に7時半、8時半ちょうどの列車を含んでいれば24本/h)ため、今回は八潮~守谷間の増強なのではと思います。当該区間には、南流山、おおたか、守谷の各変電所があり、どのような規模となるのか注目です。
セミクロスシートのロングシート化
茨城新聞によると、2017年の夏から順次、計16編成のセミクロスシートをロングシート化するようです。この16編成とは、セミクロスシートを含むTX-2000系のうち、2008年度、2012年度の新製車を除いた、開業時に投入された本数と合致します。
TXでは既報の通り、2017年度から車体更新工事が始まる予定です。開始時期はこれと近いため、同時に施工を行うのではないかと思いますが、2019年度末に完成させるのであれば、少々スケジュールが厳しいような気もします。
ギリギリ全重検が1巡するくらいの期間でしょうか。
8両化は?
1996年12月の事業計画の見直しでは、2005年に開業、2017年に8両化、「相当な年数を経過した時点」で10連化を図るとされており、これに従って開業設備が建設されました。この計画では2015年度に38.2万人/日の利用者がいることを前提にしており、増結直前の混雑率は200%を許容しています。
現在の輸送人員は35万人であり、公式プレスリリースでは年4%の増加を想定していることを踏まえれば、200%を許容した場合は2022年度くらい、180%で抑える場合は2020年度くらいに8両化のタイミングが来ることになります。
8両化に必要な費用は車両費も含めて400億円との数字が過去に出ているのに対して、今までに新製した7編成が70億円、今回の事業費が100億円ですので、半分の経費を使って、とりあえず2020年度までの輸送を確保することとなります。
しかしながら、利用者増の鈍化を見込んでいない限り、2022年度くらいに輸送力の限界が来ることが分かっているはずで、8両化へ向けた工事を数年以内に開始しないといけないことや、車両の大改造が必要になること、投資した留置線が数年で無駄になる(8両化で必要編成数が減少する)ことなども想定されているのではないかと思います。