運転保安設備

運転保安設備の概要

つくばエクスプレスは、そもそも常磐線の混雑緩和を目的とした高速通勤新線であり、守谷以南110秒間隔(32本/h)の高頻度運転と八潮以北160km/hの高速運転を両立する保安装置が必要でした。必然的にATCを採用する事になったわけです。
また、新しい会社で革新的な車上主体形ATC(JRのD-ATCなど)を導入するのは避け、整備性から無絶縁軌道回路を採用することを考えると、既存のATCで適合するものが無いため、新規に開発する事になりました。
つくばエクスプレスの保安設備は、このATC(自動列車制御装置)をベースにして、自動運転を行う自動列車運転装置(ATO)、総合管理所からの運行指令などを行う運行管理システム(PTC)、更にポイントなどの電子連動装置によって構成されています。

自動列車制御装置(ATC)

ATC/TD地上設備

無絶縁軌道回路を採用しているため、列車位置の把握にはTD信号が必要です。TD信号とは列車が軌道回路上にいることを検知する信号で、これによって絶縁がない区間でも列車位置を把握し、ATC信号による速度指令ができます。
ATC/TD装置は拠点駅(秋葉原、北千住、八潮、流山おおたかの森、守谷、みどりの、つくば、総合基地)に集中配置されていて、基幹伝送路である光ファイバー上の、駅間ATC連動LANによって全線を繋いでいます。

ATC/TD車上設備

TXのATCには一段ブレーキ方式が採用されていて、5km/h刻みに5~160km/hの現示コードが用意されています。これによって細かい制御が可能になり、時隔短縮や乗り心地向上などのメリットがあります。
一段ブレーキ方式だと情報量が多くなるため、地上から車両への伝送は、従来のアナログではなくデジタル符号伝送方式となっています。
編成先頭部にATC受電器があり、ここでATC信号速度を拾って、先頭車のATC装置で速度を制御します。

ORP設備

秋葉原、つくばなどの終着駅や、流山おおたかの森の待避線など、軌道終端が迫っている場所へ停車する際に、細かい速度制御を行う事で過走余裕距離が短くて済むような装置がORP(OverRunProtect)です。
こちらもATCと連動した新開発の装置となっていて、過走余裕距離が13.1mにまで短縮されています。
なお、基地内の運転は入換信号機による手動運転ですが、ATC送信機が作動していて、かつ着点軌道回路に侵入して2秒経つと、ORPが作動するようになっています。これにより車止への衝突を防止する事ができます。

自動列車運転装置(ATO)

ATO装置は従来からのATOをそのまま導入しています。列車の走行方法として、ATO(発車から停止まで自動)、TASC(停止のみ自動)、ATC(保安装置のみ)の3種類が通常選べますが、TXの場合、そのうちTASC(定位置停止装置)はATOの一機能です。
ATO装置はつくば側先頭車(X1XX)に搭載されていて、トランスポンダ方式のATO地上子から距離情報を読み取り、それに従って制御をします。ATO地上子は停止位置まで1020m、120m、20m、1~0mの4種類が設置されていますが、低速区間の最初の地上子は450mに設置されています。
ATO運転の場合、通常モード、遅延回復モード、雨天モードの3種類を更に選べるようになっていて、通常モードでは125km/hの最高速度が、遅延回復モードでは128km/hになったりします。
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